イラストSS

●かりそめでも、ちゃんと、あなたをみながら
「もう一度、『こちら側』で一夜を過ごさない？」
　R.O.Oの中で問うた花糸撫子に対して、プロメッサは「構わないが」と言って、しかし。
「なぜ、そんなにも私と居ることに拘るんだ？」
「……一つは、罪滅ぼし、かしら」
　この世界に居た、貴方ではない貴方と戦い、傷つけたことに。そう言った撫子にプロメッサは目を丸くした。
「それは……『私』ではない」
「ええ。あなたならそう言うと思ってた。だから、もう一つの理由はね」
　――今度は、ちゃんと貴方の姿を見ながら、この夜を一緒に楽しみたかったの。
　真っすぐに向けられた想いに、プロメッサは今度こそ返す言葉を失った。
「だから、ね？
　あの時と同じように、また私の手を握っていて頂戴！」
　今度は、寒さを堪えるためばかりではなく。そう言って手を差し伸べた撫子に、プロメッサは仮面の下で苦笑じみた笑い声をあげ、応える。
「……ああ。承った」

　――さあ、輝かんばかりの夜をもう一度、と。


　※SS担当者：田辺正彦