イラスト詳細
見えぬ景色を言葉に乗せて
見えぬ景色を言葉に乗せて
作者 | kzgr_ |
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人物 | エドワード・S・アリゼ 閠 |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2021(→おまけイラスト)(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2021年12月24日 |
5
イラストSS
真白の雪に足跡を刻んでエドワードが閠の手を引いている。
急かされながらも、こちらに歩調を合わせるエドワードに閠は笑みを浮かべた。
閠の目は黒い布で隠されている。理由があって閠はこの布が外せない。
だから閠は家で静かに読書か刺繍でもしようかと考えていたのだが、エドワードが外へ行こうと言ったのだ。
『閠が怪我しないようにオレが手を握ってるからさ!』
太陽の様に温かく明るい声に釣られ閠はその手を取った。
暫く歩き続けて、ふとエドワードが足を止めた。
木々に飾り付けられたイルミネーションの灯りが白雪と濃紺の夜空を色鮮やかに染め上げていた。
「すごいぞ! 閠っ!!」
興奮した様子でエドワードは懸命に言葉を紡ぐ。
「静かーな感じの夜に、色とりどりな光がいくつもぶわーーっと広がっててさ! 星が沢山見える空よりもきれーかもしれねーっ!!」
言葉は稚拙で、小説のような綺麗な文章とは程遠くて。
それでもこの気持ちと景色がこんなにもすごいんだと閠に伝えたくて。
黒い布で覆われた視界にその鮮やかさは、美しさは映っただろうか。
それは閠以外の誰にも分からない。
けれど繋いだ手から伝わるこの温もりは、優しさは屹度伝わっている。
※SS担当者:白