イラストSS

　パーティー会場では見目麗しい男女が手を取り、天義式のワルツを踊っていた。
　その中でも特に美しい男女の姿がある。
　まわりで踊る人々もつい見とれてしまうほどの。
　方やリースリット・エウリア・ファーレル。家柄に似合った黄金のごときドレスは、しかし彼女の星空から流れ落ちたような美しい金髪を見事に映えさせ、バラの髪飾りの赤さも彼女の宝石めいた美しい瞳の色をより強く見せつけた。
「お誘いありがとうございます、カイトさん」
　一方の男性はカイト・Ｃ・ロストレイン。高級そうな貴族礼服を纏った彼が、美しいリースリットに見劣りすることはない。
「幻想から天義まで遠かったでしょうに。
　今日は楽しんでいってくださいね、ファーレル嬢。それとも勇者とお呼びした方が宜しいでしょうか」
「……私は、いつも通りで構わないですけれど」
　白を基調としたパーティー用の服で、その服に似合うだけの優しい笑みを浮かべている。
　しかし……。
「はあ、貴族の言い回しは苦手だよ、僕。後で外の空気でも吸いに行かないかい？」
「本当に苦手そうですね、こういうのは。……ふふ、でしたらもう暫くしたら一息つけましょうか」
　誰にも聞こえぬように囁きあうと、二人は別の笑みを浮かべ合った。

　担当GM：黒筆墨汁