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ふふ、今日も私のお姫様は可愛いんだ
ふふ、今日も私のお姫様は可愛いんだ
イラストSS
「私のお姫様に贈り物をしてもらえるなんて光栄だね」
大きな姿見の前で、ラクロス・サン・アントワーヌはくるりと回ってみせた。
落ち着いた赤と白で配色された、オトナのサンタクロースめいたパンツスーツ姿である。
これだけ見ると、元々のハンサムな顔立ちも相まって男性にすら見えるが、立ち振る舞いの柔らかさやしなやかさがアントワーヌの隠しきれない女性的魅力を醸し出している。
そんな彼女の後ろで長細い箱を開く伏見 行人。
枯葉と言えば焦げ茶や黒で上下を揃えた礼服姿。ネクタイはビターチョコレートのような優しい色合いをしている。
髪を後ろで縛ったちょっと女性的なシルエットにもかかわらず男性だとすぐ分かるのは、彼の厚い胸板とキリッと涼やかな目元、そしてハンサムに通った鼻筋のせいだろう。
アントワーヌは自分のネクタイを外すと、それを行人へと手渡す。
そして姿見の前で両手を後ろに組んでみせる。
『つけてくれ』というのだろう。
行人は微笑み、彼女の両肩の上から腕を通すと器用にネクタイを巻いていく。
僅かな熱が、そして行人の首筋からながれる雪解けのような香りがあった。
二人の視線は鏡越しに交わり、そしてすぐにネクタイへと映る。
「よく似合ってる」
行人はそう言って、もう一度笑った。
担当GM:黒筆墨汁