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黎明院・ゼフィラのせたあおこによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2021
黎明院・ゼフィラのせたあおこによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2021
イラストSS
それは夢のような光景だったに違いないのだ。
母と娘。生と死、或いは世界によって離別した二人は、こうして再び出会うことができた。
違う所はある。娘から見た母の面影は、あの時から変わりなく。
母から見た娘の面影は、あの時よりずっと大きくなっていた。
「ゼラム、キミ、今日(シャイネンナハト)は暇かい?」
ゼフィラは言う。ゼラムは内心動揺しつつ、しかしいつも通りの結んだ口を見せた。
「ええ、まぁ、はい。流石に研究機関も休暇をとりますからね」
「なら結構。着替えたまえ。出かけよう」
「は? え、ちょっと」
半ば無理矢理のように着替えさせられて、気づいたら色づく街の中に放り出される。そのままゼフィラに手を引かれれば、ゼラムは慌てた様子で歩調を合わせる。
「なんですか、急に……」
母さん、という言葉を飲み込んだ。
「いや? こういう夜は、こうやって……出かけるものだろう?」
娘と、という言葉を飲み込んだ。
二人は、お互いがそうだと気づいていながら、その正体を明かしていない。
拒絶されるのが、怖かったから。ようやく再開したあなたに、手を振り払われるのが怖かったから。
今こうして、他人として握っている手。
それが、離れてしまう事が……。
「まぁ、いいですが」
ゼラムは苦笑する。
仮に真実を伝えあっても、その手は離れないかもしれない。
私達は、臆病者かもしれない。
けれど……いまは、この繋がった手のぬくもりが、とても愛おしい。
*SS担当:洗井落雲