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楊枝 茄子子の黒猫による2人ピンナップクリスマス2021
楊枝 茄子子の黒猫による2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
羽衣教会とは――
そんな文言が並んでいる聖書を開き茄子子はざんげへと解説する。
余り表情を変えることのない彼女の金色の眸は聖書を物珍しそうに見詰めていた。
「詰まりは、翼があればここにだって気軽に誰でも来ることができるでごぜーますか」
「そうそう、つまり翼を手に入れることでいずれここにもひとっ飛びできるようになるんだよ!」
空中神殿は特異運命座標となったものだけが訪れることが出来る場所だ。
限られた例外が生じれど、それは偶然の産物であり一般的には『御伽噺』と称される場所でもある。
眼窩に見下ろす街。もしも、訪れることが出来ると言うならば自身が翼を持てばあの街に出掛けることも出来るのだろうか。
「面白そうでごぜーますね。できるなら、ですが」
「でしょ? でしょ? 会長の箔のために羽衣教会のシスターになってよ~!」
お願いと強請る茄子子にざんげは首を傾げた。
「私は神託の少女でごぜーます」
「だからこそマスコットキャラクター、あ、それは会長かも。
羽衣教会の宣伝役として、さ! どうかな? なろうよ~?」
「はあ……」
屹度、望んだ返事はない。だが、斯うして新しい物に触れ、自身を友人のように語りかけてくれる存在は新鮮だ。
ざんげはぱちりと瞬いてから聖書に目を落とした。
――翼があれば、何処へだって行けるのならば。『不自由の無い少女』にもなれるのだろうか。
SS担当:夏あかね