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【最愛】
【最愛】
イラストSS
●我が『最愛』へ
――薔薇の花を11本束ねると、その意味は『最愛』になるらしい。
硝子の天蓋を擁した、鳥籠の如き建物にて、愛しき人を待ち受けていたルナール。
「俺が××××に贈るプレゼントとしては、洒落てるだろう?」。そう言った彼に対して、対する『彼女』は小さく微笑み、緩やかにその手を差し出した。
『彼女』の手に薔薇の花束を握らせたルナールは……けれど次の瞬間、伸ばされた『彼女』の腕を掴み、ゆっくりと自らに引き寄せる。
「――――――××××を、愛している」
二人が永遠を誓ったその日。ルナールは、確かな恐れと共にこう言った。
「これから先、何を残せるかは判らない。何も残せないかもしれない」と。
自らの最愛を受け入れてくれた君に、何も残せない。何も返すことが出来ないという恐怖。
しかし、それに頷いてくれた『彼女』は、如何程の時を経て尚、ルナールにとっての最愛そのもので、だから。
「俺は普段言葉が足りないから、こういう時こそ言葉にしないとな」
せめて、この想いを伝えることだけは、絶やさずにいようと。そう言った。
――その胸中が、お互いにとってのものでもあると、確信しながら。
※SS担当者:田辺正彦