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イラスト詳細

アクセル・ソート・エクシルの白狼印けいによる関係者2人+PCピンナップクリスマス2021

作者 白狼印けい
人物 アクセル・ソート・エクシル
イラスト種別 関係者2人+PCピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

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イラストSS

 点滅する電飾が、小さなモミの木に巻き付いている。木といってもプラスチック製のイミテーションだ。
「オイ、本当にこんなもんでいいのか? マジの木くらいなら用意できるぜ?」
「いいんだよ。これが『クリスマス』の様式らしいんだ」
 プラスチックの木をはさみ、二人の男性が様々な飾りを枝にくっつけている。
 片方は黒い狼のような頭を、もう一人はシロクマのような頭をした獣種たちである。
 二人の服装はシンプルでありながら仕立てがよく、色合いや材質から扇子の良さがうかがえる。
 それもそのはず。彼らはアパレルショップ『world wide』の店長とバイヤーなのである。
「偽物の木に偽物の飾りなあ。ま、儀式ってのはそういうもんか」
 狼めいた頭の日碕 アキラ。店長をつとめる彼は獣種のように見えるが、こうみえてウォーカーである。
「君の世界にはなかったの? クリスマス」
「あ? あー……そういやあったかもな。けどマジの木にデカい飾りをつけてたと思うぜ。ぶっちゃけちまえば、『くりすます』とかいうのがどういう意味の言葉かも知らねえ」
「それでよく祝えてたね……」
 一通りの飾りを終えた所で、煤浦 マティアスというシロクマ頭の男性が絵本を手に取った。
 こちらは見たとおりの獣種。二人で並ぶとふつうに獣種コンビに見えるので訂正することもなくなりつつあるが……。
 マティアスの開いた絵本には赤い服を着た恰幅の良い男性が空飛ぶソリでプレゼントボックスを運ぶさまが描かれている。
「こういう格好の人が無償でものを配る日、ってこと?」
「……そういややらされたなこの格好」
 アキラが昔を懐かしむような顔をして、そしてむすっと顔をしかめた。元々しかめっ面のような頭なので近いが分かりづらいが、付き合いの長いマティアスには『年上にからかわれた思い出が蘇ったな』とわかった。年齢のわかりづらい獣頭ではあるが、アキラはこうみえて16歳。マティアスは28歳。親子は言い過ぎだが干支一回り程度は年が離れている。
 大打撃を受けたばかりの練達。それでもクリスマスを祝おうと彼らはありものでパーティーの準備をしていたのだった。
「……そういえば、テッペンに飾る星がないね」
「む」
 がちゃり、と扉の開く音。
「やあ、久しぶり!」
 声がする。振り返ると、アクセル・ソート・エクシルだった。
 彼が高く翳して見せたのは雪の花のような飾りである。
「手伝うよ、二人とも!」
 アキラとマティアスは顔を見合わせ、そして同時に笑った。

 担当GM:黒筆墨汁

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