PandoraPartyProject

イラスト詳細

未明:幸福への祈りのため水垢離

作者 ほのか
人物 志屍 志
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2021年12月24日

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イラストSS

 まだ動物たちも眠る時間――間もなく曙となろう時刻。滝の音だけが響き渡る小さな水場があった。大人なら溺れず立てる程の、小さな池。ごつごつとした岩場で隠されるようなそこで、志屍 瑠璃(p3p000416)は一心に神へ祈りを捧げていた。
 水の勢いにすっかり髪も襦袢も濡れ、その体を水滴が滑り落ちていく。同じように濡らされた髪が水流で揺れていた。眼鏡にも次第にぱたぱたと、小さな水滴が付着する。
 冬の水は凍るように冷たく、しかし微動だにしない彼女はまるで彫刻かのようだ。水に濡れて張り付いた襦袢1枚越しに胸が上下していなければ、本当にそう思われていたかもしれない。最も、冬のこんな山奥まで来る者がいたらの話だが。
 目を閉じている瑠璃にも、瞼越しに少しずつ太陽の光が差し込むのか感じられる。ぼんやりとしていたそれは、やがて明瞭に。寒さを溶かすように、人々へ目覚めを促すように。
 だがそれでも瑠璃は、ぴくりとも動かなかった。水垢離の時間はまだ終わらない。まだ、この心を届けるには足りないのだ。

 どうか、今日という日が平穏でありますように。


 ※SS担当者:愁

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