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虚無虚無達磨
虚無虚無達磨
イラストSS
ざく、ざく、ざく。
静寂が支配する冬の森で、世界は独り雪を集め、丸め、雪だるまを作っていた。
「……」
出来上がったそれを雪の上に置き、じっと見下ろす。その瞳は虚無である。
数刻前――
「「輝かんばかりのこの夜に!」」
いつも通り境界図書館へ足を踏み入れた世界に、祝福の声が降る。
今日ばかりは無辜なる混沌をはじき出された彼らも祝宴ムード。館内をそれらしく飾り付け、盛大に祝っていたのだ。驚く世界の肩へ、ポンと境界案内人の黄沙羅が手を置く。
ふわ、とムスクのエキゾチックな香りが鼻をかすめた。男装とはいえ彼女は女性。間近で見れば相応に見れる顔だ。
「世界、君ならきっと特別な日も、此処に来てくれると思っていたよ」
「言い方は少々ひっかかるが、まぁそうだな」
ちょうど用意されていたケーキが切り分けられはじめた時だった。案内人の一人ひとりに甘味が渡っていくのが見える。そうか、シャイネンナハトはここに来れば、俺も――
「という訳で、はい」
「え?」
ぺいっ、と唐突に放り出される雪の中。寂しげな景観のライブノベルに放り、黄沙羅は言う。
「独りで過ごしたそうな世界のために、依頼をちゃんと見つけておいたんだ。雪だるま108個の納品依頼、今日中によろしくね!」
僕はパーティーに戻るから! そう言い残して消える黄沙羅。そして彼はこの寒空に残されたのだった。
え、何?こういう日こそ独りで居たい陰キャだと思われてる??
もう何も分からない。思考までも雪の様に、白く、白く――
※SS担当者:芳董