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久住・舞花の二条によるおまけイラスト
イラストSS
●雪之丞一枚だけだったから一応書くか……
「奇遇ですね」
「うむ。買い出しか何かか?」
幻想北部の商都サリュー。
シャイネン・ナハトの準備に浮かれる夕方の町並みで刃桐雪之丞と久住舞花が出会ったのは示し合わせてのものではない偶然の出来事だった。
「まあ、そのような所ですが……其方も?」
「うむ。若もたてはも生活力に乏しいのでな。
我ながら損な苦労性故、諸々買って出る事にしている」
「それは……まぁ」と舞花は苦笑した。
話の流れで『丁度良い所』に同道する事になった二人は、目的地までの距離を何と無しに話を続ける事になる。
「梅泉さんとは長く?」
「俺は若の父君、桜鶴様の高弟故な。
……まったく、若の才気には舌を巻く次第だが。
何分、ああいうお人故、とても放ってはおけぬ」
「剣才、ですか」
「剣以外もな。
一菱開闢以来の天才とはあの事よ。
万能の才覚とはあれを呼ぼうが……
如何せん、それが故に『通常』で収まる術がない。
……全く詮無い話だが、俺は一菱らしくない。
『非主流』でな。君の剣にも少し似ているやも知れないな」
「確かに一撃必殺という風ではありませんね」
『一菱らしくない剣を使う雪之丞が、基本的に一菱らしい事を舞花は知っている』。
……意味がややこしくなるが、一菱の男は気障で尚且つ美しいものを好む。自分で言えば面映ゆいが、舞花は剣の型なり、自身なりが『友好的な理由』であろうと分からないでもない。
「……まぁ、分かります」
「うん?」
「いえ、何となくですが」
舞花は雪之丞の事が『何となく』分かる。
成る程、お互いに察している通りだ。
この二人は何処か似ている所があるのだから――