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ミストの二条による3人ピンナップクリスマス2021
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「次はあっちのお店ね! 日澄ちゃん! 椿君!」
イルミネーション輝くシャイネンナハトの街の中をミストが先陣切って歩いている。肩に乗せたトリヤデさんとお揃いのマフラーが彼女の歩みに合わせてふわりと揺れた。
「えぇ、えぇ! ミストさまがお望みならば何処へ立ってお供いたしますわ!」
いつも自分の中にいる沢山の役者達は大好きな天使の前では幕裏へ引っ込み、只の少女として日澄は頬を薔薇色に染める。お金の心配をせずに彼女と一日一緒に居られるのだ、こんなに嬉しいことはない。心なしか頭上のトリヤデさんも喜んでいる様に思う。
「勿論いいとも!」
既に両手にラッピングされた沢山の箱と限定デザインのショッピングバッグをぶら下げているというのに椿は二つ返事で了承した。
なんならトリヤデさんも留まっているのだが椿はニコニコとしており疲れなど微塵も感じさせない。
「椿君重くない? やっぱり私ちょっと持つよ!」
「まぁ、ミストさま! それならば私が持ちますわ!」
「ありがとう、二人とも。大丈夫だよ、お買い物中のレディーに荷物なんか持たせたら男が廃るってものさ」
二人の申し出を断り、椿は荷物を抱え直す。
本日彼が提げているロゴマークはどれも一流ブランドのものばかり。
シャイネンナハト限定コスメに、海洋の有名デザイナーとコラボしたパンプス。豊穣の職人から取り寄せたと言う宝玉をあしらった簪。二人でお揃いのモノを楽しそうに選んでる様子は天国だったなあ。
総額で大凡ウン十万GOLDは行ってるかもしれない。小さい領地なら一つ買えるかもしれない。
それでも椿はちっとも後悔していなかった。
こんな可愛い子二人に無邪気に「あれがほしい」「これがほしい」とおねだりされたら財布の紐はゆるみっぱなし。来月の生活費なんか椿の頭からは消えていた。
「あっ! ねぇねぇ、あそこにホットチョコレート売ってるよ! 寄り道しても良い?」
「まあ本当! とっても美味しそうですわ!」
視線の先には有名なショコラ専門店。自社ブランドの高級チョコレートをまろやかなミルクに溶かしたホットチョコレートを出店で出しているらしい。一杯の値段がそこそこ豪華なランチが食べられるのではないかという庶民にはなかなか手が届かない代物である。
しかし上目遣いで飲みたいのだとお願い×2を喰らえば心臓と財布を射抜かれてしまい、椿は思考する間も無くこう答えていた。
「勿論!!」
※SS担当者:白