イラストSS

「ねえむーみん、自撮りしてみん？」
「自撮り？」
　月待 真那（p3p008312）の言葉に夢字狎 魔魅（p3p010169）は首を傾げる。
　古本喫茶、『夢字狎堂』。店主の老夫婦が各地から集めた本と一緒にドリンクや甘味を楽しむことができる古民家カフェである。そこで働く孫娘の魔魅とバイトの真那であったが、丁度その日の客足もピークを越え、つい先ほど客足が途絶えたところであった。
　次の客がくるまでは小休憩。そんな折の会話である。
「そう、自撮り！　自分でカメラのシャッターを切るんよ」
　2人でやってみたいという真那。魔魅は客がまだ来なさそうなのをちらりと見て頷いた。
「ねえ真那ちゃん、どんな風に撮る？」
「2人でピースしよ！　シャッターは私切るわ」
　真那の構えるそれに2人でピースサイン。ほどなくしてシャッター音が鳴ると、そろりと真那が魔魅を見る。
「……むーみん、もう一回いい？」
「？　うん、いいよぉ」
　聞けば、シャッター時に目を瞑ってしまったかもというものだから。くすりと笑った魔魅は手をピースにして、再び2回目のシャッターを聞いた。
「今度は完璧やわ！」
「あたしにも見せてよぉ」
　きゃいきゃいとはしゃぐ2人の耳に、カフェの扉が開く音が届く。だから2人ははっと顔を上げて、にっこりと笑いかけた。

「いらっしゃいませぇ～」
「いらっしゃいまっせー！！」


　※SS担当者：愁