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カノンの傾 千悠によるシングルピンナップクリスマス2021
カノンの傾 千悠によるシングルピンナップクリスマス2021
イラストSS
今まさに世界が崩壊の危機に瀕している、なんてことも知らぬままに人々は今日もいつもと変わらない、ただし少しだけ特別な日常を過ごしている。
本日は混沌でいうところのシャイネンナハト、聖夜だった。イルミネーションと静かに降る雪が街を彩り、カノンはその幻想的な雰囲気に足を止めた。
先程まで教会の手伝いをしていた彼女はその美しさに思わず溜息をつく。
今までこの世界でこなしてきた依頼(クエスト)の記憶が蘇る。
混沌の自分とは違うもう一人の自分を産み出して、オンラインゲームという初めての世界に飛び込んだ時の高揚感。
トレインが崩壊した冒険者を助けた事もあったし、蛹をボコしたこともあった。
数え切れない冒険(おもいで)は所詮0と1で出来たデータに過ぎないのだと斬り捨ててしまうには、あまりにも実感を持ちすぎていた。
飾られたクリスマスツリーも、ご馳走を楽しみにする子供の声も、聖夜に浮かれすれ違う人々の吐く白い息も、なんら現実と変わらない。彼らは此処に『生きている』
敬虔な修道女は手を組み瞳を閉じて祈った。
どうか、この世界が護られますように。
この世界に生きる人々に聖夜の祝福がありますように。
※SS担当者:白