PandoraPartyProject

イラスト詳細

デートの終着点(くらい)

作者 くらい
人物 善と悪を敷く 天鍵の 女王
リーゼロッテ・アーベントロート
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

2  

イラストSS

●距離
「『輝かんばかりのこの夜に』」
「……お願いが、したかったのです」
「お願い?」
「はい、お嬢様。聖夜に相応しいお願いを」
 一面に宝石をぶちまけたかのような空の下。
 外套の下に赤薔薇と蒼薔薇のドレスを纏った少女が二人、否一組。口付けさえも出来そうな距離まで額を寄せ合っている。
 圧倒的に『絵になる』のだ。
 二人とも色素が薄く、抜けるような白い肌に銀色の髪を湛えている。幻想的なその姿は絵画から抜け出した双子のようにも見える。
 つまりそれは非現実めいた現実に他ならない。誰かがそれを眺めたらさぞ眼福だった事だろうが、生憎とそれが叶う機会は永遠にあるまい。
「……伺っても?」
「お嬢様は意地悪です」
 クスクスと笑ったリーゼロッテにレジーナは、はにかみながら少しだけ頬を膨らめた。猫が鼠を甚振るような彼女の嗜虐性は知れていた。
 奇跡の夜にかけたくなる願いなんて一つしかない。そんな事は互いに百も承知なのに。
 リーゼロッテはただ甘やかにレジーナの柔肌に爪を立てる。レジーナはそのむず痒い痛みに頬を染め、お飯事のような恋の劇に一時酔うだけなのだ。
「お嬢様」
「うん?」
「愛しております。心から、お慕い申し上げております」
 そんな言葉にリーゼロッテは破願した。

 ――知っておりますわ。

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