イラストSS

●鴨が葱背負ってバグス・ティーネ
「お、おおおお……」
「おおおお？」
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんって！
　私は千五百歳なんですから！
　ちゃんとお酒も呑めますし、ディルク様よりずっと――ずぅっと年上なんですからね！？」
　古今東西、聖夜に艶めく恋模様においても。『子供扱いされてちっとも話が進まない』の数は膨大過ぎて知れなかろう。怜悧なその美貌に『語るに落ちる程の愛らしさ』を全身全霊で貼り付けたエルス・ティーネ(p3p007325)とベッドから半身だけを起こしてそんな彼女を呆れて眺めたディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)の間柄も同じである。
「第一、ディルク様は適当過ぎるんですよ！」
　抗議めいたエルスはあられもない格好でディルクの横たわるキングサイズのベッドに身を乗り出した。
（子供扱いする割に恐ろしく雑に――そう、キスとかするし）
　内心ながらに後半は小声になっているが、事実である。捉え所の無い男の所作は彼女を不安にさせる事はあっても安心はさせない。嫌われているとは思っていないが自信が持てない。諦念的なエルスならそれは尚の事である。
「ははあ。それで聖夜、それも真夜中に忍び込んだと」
「悪いですか！？」
　悪いのは承知だが開き直っている。
　エルスはヤケだったが、ディルクの反応は少し違った。
「いや、別に？　単に抗議は一切受け付けないって確認だ」
「……はい？」
「じゃ、いただきますっていう事で――」