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両手いっぱいの花束を
両手いっぱいの花束を
イラストSS
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麗しき金獅子と気高き黒狼、その仲間達によって紡がれた一曲は素晴らしいものだった、という自負がある。
特異運命座標は、ただ戦うだけの兵隊ではないのだと。混沌に存在しているだけで可能性(パンドラ)を産み出せることは重々承知なのだけれど。
誰かの役に立ちたい。誰かを喜ばせたい。
そんなささやかで、けれど真っ直ぐな思いを、武器をとるという手段以外で叶えてみせた彼女には本当に頭が上がらない。
愚直に武器を振るい鍛練を重ねる日々が、楽器をとり五線譜と向き合い練習を重ねる日々に変わった。ただそれだけのことがどれだけ特別か。
……嬉しかったのだ。誰かの負傷や犠牲の上になりたつ幸せではなく。ただ音という目に見えないものだけで、誰かを幸せにできたというその事実が。
金獅子のポニーテールが揺れる。その名を呼べば、くるりと彼女は振り返る。タイムは笑った。
満ちる大輪。
「輝かんばかりのこの夜に――オーケストラお疲れさま!」
これは私からのほんの気持ち、と付け足して。押し付けるように花束を手渡した。
「いつもありがとう!」
優しくて頑張り屋で、けれどそれを人に見せようとはしない。そんな貴女に、心からの感謝を込めて――
※SS担当者:染