イラストSS

　異世界では、この日にプレゼントを贈るものらしい。そう言ったのは誰であったろうか。しかし、その慣習が数年前より広がっているのは確かである。
　ここにも、また。

「ウェラさん、お待たせ！」
　タイム（p3p007854）の姿にランドウェラ＝ロード＝ロウス（p3p000788）は微笑んで手を振る。去年のこの日から1年、彼女を考えて選んだものをランドウェラは差し出した。
「受け取ってもらえるかな？」
「わぁ、素敵な色……！」
　それは手帳サイズのノートとペンだった。可愛らしすぎずお洒落なデザインに、タイムは何を書こうかと顔を綻ばせる。この世界に来てからの事なんてどうだろう。これまでの事も、彼の事も、全て記して――いつしか、見返せるように。
「わたしからはこれ！　ウェラさん、こんぺいとうが大好きみたいだから用意してきたの」
「こんぺいとう！？」
　その瞬間、ランドウェラの表情がぱぁっと輝いた。そんなに好きなのかとタイムは目を丸くして、それからふふっと笑みをこぼす。
「味わって食べ……食べるよ！」
　いいや、本当は食べたくない。飾っておきたいくらい綺麗だから。
　けれどそんなことを言ったら悲しまれてしまうかもとランドウェラは食べる宣言をする。この後、知らぬ間に――大体は寝ぼけている間に食べて――減っていくことを、彼はまだ知らないのだった。


　※SS担当者：愁