イラストSS

　シャイネンナハト。特別な聖夜とされる事が多いが、何も艶っぽい逢引ばかりではない。
　そう、年末なのだ。つまるところ忘年会も忘れてはいけないのである。忘年会だけに。
　普段は何かと…否、今だけは忘れるとしよう。穏やかに楽しく飲み、食べる。それも忘年会の楽しみなのだから。
「よし、揃ったな。…ほれ、輝かんばかりのこの夜に！」
「ふふ、悪くないわ。──輝かんばかりのこの夜に」
　ジョッキの同士のぶつかる景気の良い音と共に、幾度となく聞いた言葉を口にする。今日だけの特別な言葉だ、会の内容とは違えど悪くはないだろう。
　酒を持っているのが体躯の小さなレジーナの方であるというのも何だか不思議な光景ではあるのだが、二人の間では些細な問題なのだ。
　今年あった事を並べてしまえばきりがない。一つ一つ、思い入れのある事を口に出しては思い出話に花を咲かせる。合間につまむ料理も相まって、さて止め所は何処へ行ったのやら。
　偶には悪くないかもしれない、と。思う間にも夜は更けていくばかりであった。


　※SS担当者：月見里あとり