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「さあ、一緒にあたたまりましょうネ」
「さあ、一緒にあたたまりましょうネ」
イラストSS
今宵はとても冷えるだろうから。
それは果たしてどちらの常套句だったか、今や深く考えても致し方ない事だろう。
底冷えする外気を遮った室内は暖房がしっかりと行き届いており、招き入れた少女の首筋には薄らと汗すら滲む。
コートは此方で預かろうか、声を掛けるよりも先に彼女はその一枚を脱ぎ足元へ落とす。はらりと黒髪が下りる下は既に薄着──否、それ以上に布地の少ないもので思わず息を飲んだ。
「どうしました?」
惚けてしまった自分を気にしてか、逆に声を掛けられてしまった。ああ、と短く取り繕う先の彼女は既に寝台へと向かっている。
ひらり、腰元の布を持ち上げて。室内の熱で温められた汗は浅褐色の肌上を滑りゆく。
ぎしりとベッドを軋ませ片膝を乗せた時、ふと彼女が微笑んだ気がした。
「さあ、一緒に温まりましょうネ?」
※SS担当者:月見里あとり