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ノリア・ソーリアのみずうみによるおまけイラスト
ノリア・ソーリアのみずうみによるおまけイラスト
イラストSS
それはそれは不思議な光景だった。なんとまあ大きなモミの木が海の中に聳え立っているのだ。
ひらり、ひらり。遠巻きに覗きにやって来る彩り豊かな魚やクラゲ達。分厚いガラス越し、金銀きらめくオーナメントとどちらが鑑賞されるものであるかはささやかな視点の違いで、初めてのご対面はどうやら彼らの好奇心を大いに刺激したようだった。
聖なる日を象徴するカラフルなツリーも、綿で模した白い雪化粧だって、海底には届かないものだから——
そんな熱視線の先、曇りガラスのような尾を持つノリア・ソーリアは空気を閉じ込めた水槽の中を泳ぐ。透明な天井にガーランドを吊るす少女の真剣な一挙手一投足を魚達と共に見つめるのは、この一風変わった『水族館』を管理するベイレリン・カプリチオ。彼女の手にはまだ箱いっぱいの飾りが詰まっていた。
次はどこに。それならこちらを。やっぱり青で——なんて、あれやこれやと相談しながら進めていくのもこういった行事の醍醐味だ。だいぶそれらしくなりましたね、と手伝いに来た女性が言えば、ふたりは手を止めて笑い合った。
——カエラリウム海中水族館、本日はシャイネンナハト特別展示にて貴方のご来館を心よりお待ちしております。
※SS担当者:氷雀