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【139】冬採れ茗荷。或いは、聖夜の水垢離…
【139】冬採れ茗荷。或いは、聖夜の水垢離…
イラストSS
日中、数多くの友人たちと楽しんだシャイネンナハト。
澄恋はそんな友人たちと別れ、家の裏へと向かう。
澄恋の家は練達の古民家という言葉がしっくり来る見た目だ。
中身は一般的な住居と相違ないが外観の立派さは折紙つきだ。
そんな家の裏へと澄恋は迷うことなく進む。
家の裏にあるのは、神聖なる森である。その森を慣れた足取りで進む。
森の中、ぽっかりと空いた空間。その中央に座す池。
白い襦袢に着替えて来ていた澄恋はその池へゆっくり入っていく。
この池は山からの清水で生まれた自然のもので、澄恋はそれを感謝して水垢離の場として日 夜、自らを清めていた。
今宵のような特別な夜であってもこの習慣は変わらない。
美しい青空色の毛先を池に浸すと、襦袢から透ける白魚の肌が艶めかしい。 桶を手繰り寄せ、清水を掬って肩、頭と順に清める。
ふと、自分以外の誰かの気配を察知したのか、周囲を見渡し――鮮やかな紫水晶の瞳を細め た。
口の動きだけで彼に赦しを与え、澄恋はいっそ魅せるように命垢離を再開したのだった ――……。
※SS担当者:桜蝶 京嵐