イラスト詳細
いつかの、輝かんばかりの夜に
いつかの、輝かんばかりの夜に
イラストSS
「輝かんばかりのこの夜に(メリークリスマス)、ネーヴェ」
「ありがとうございます、ルド様」
幼かったあの日。体が弱くて、冬になると必ず風邪を引いていたわたくしが、珍しく風邪を引いていないシャイネンナハトの事でした。
冒険の合間を縫って立ち寄って下さったルド様が、紅い箱を持ってきてくださったのを良く覚えています。
「余り近付くと、何か病気を移してしまうかな」
そう言って笑うルド様に、幼いわたくしもおかしくてくすくす笑って。
「今は元気だから、大丈夫ですよ。……その箱はなんですか?」
「これかい? これはね、元気なネーヴェへのご褒美だ。――なんてね。シャイネンナハトにはプレゼントが付き物だろう?」
どうぞ、と差し出された赤い箱には、金色のリボンが巻かれていて。まるで其れは見ているだけでわたくしをどきどきさせる魔法の箱。もういっそ、開けない方が良いのではないかしらとも思った程、わたくしは嬉しかった。
「……開けても良いですか?」
「いや、まだ駄目だ。何が入ってるか当ててごらん」
そう言って悪戯っぽく片目を閉じるルド様。わたくしはこんなやりとりがずっと続くのだと信じて疑わなかった。
わたくしは紅い箱を振ったり、重さを確かめたりして――結局、中身を当てられなかった。
ああ、何だったかしら。あの箱の中身は――希望、だったのかしら。
※SS担当者:奇古譚