イラストSS

　ホワイトツリーと吊るした星で着飾った聖夜の日。
　買ってきた雑誌と睨めっこしながらジュリエットはマフラーを編んでいた。
　色は白。自分の髪とお揃いの色。
　愛しい翡翠の騎士の傍にずっといられます様に――。
　そんな白雪の姫の想いを込めて毛糸は姿を変えていく。
「長さはこの位……でしょうか？　……いえ、もう少し長くしてみましょう」
　毛糸の入った籠に手を伸ばしてあと少し、あと少しを繰り返すうちに毛糸のふわふわした感触がもふりと手触りを変えた。
「あら？」
　漸く紙面から顔を上げて籠を見れば、サムシングブルーのリボンでおめかした白いクマがお留守番をしているだけだった。用意していた毛糸たちはみんないなくなっている。
　はっとして編んでいたマフラーを見てみれば、マフラーは床に着くほどになっていて、一人で巻くには随分と長くなってしまった。
　今から解いて編みなおそうか？　いや、それでは間に合わない。
　ジュリエットは暫く思案し、結局その長さで仕上げることにした。
「二人で巻いたら、屹度もっと暖かいですよね」
　彼だって喜んでくれるだろうと、瞼の裏に彼を描いてジュリエットは愛おしそうに編み上げたマフラーに頬ずりをした。


　※SS担当者：白