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紅迅 斬華のねこのこねこのこによるおまけイラスト
紅迅 斬華のねこのこねこのこによるおまけイラスト
イラストSS
●強気に弱気
「……う、ううん……」
悩ましい声を上げた紫乃宮たてはの形の良い眉は顰められていた。敵を撃滅せんという刀術にかかれば、立て板に水を流すが如し彼女も『聖夜を前にした買い物』に掛かれば形無しだ。
「そんなに悩まなくてもきっと大丈夫ですよ!」
泣きつかれ、プレゼント選びに付き合う事になった斬華は相変わらずの笑顔のまま、困り顔のたてはを激励する。
「こういうのは気持ちが大事ですからね。
一生懸命選んだたてはちゃんの気持ちをきっと梅泉さんも察してくれます♪」
梅泉は何だかんだでこの厄介な蝶に対して付き合いが良い。それは或いは罪悪感から来るもので……たてはが満足する理由であるかは知れなかったが。斬華は「そうでなければたてはちゃん、とうの昔に逃げられていると思います」と本当の事は言わなかった。
「でも、こういうのはセンスを見られるって言いますやろ」
「う、うーん」
「旦那はん、芸術家としてもプロ並やない。
お眼鏡に敵うものを見つけないと、正妻としてはここは……」
眉をハの字にしたたてはに斬華は嘆息した。
(たてはちゃん可愛いですし、きっとそのままでいいのに――)
そうは問屋が卸さないのが恋する乙女であり。斬華は正直『そういう』気持ちは分からなかったが、悩みながらも華やぐたてはを眺める時間は決して悪いものではなかった。
「ふふ♪ 梅泉さんからも何かプレゼント貰えるといいですね♪」
「でも旦那はん……そういうの興味無さそうやない……?」
「たてはちゃんなら大丈夫ですよ!」
言葉は安請け合いだが、案外本音を帯びていた。