イラスト詳細
聖夜・雪原を駆ける【もめん子絵師様】
聖夜・雪原を駆ける【もめん子絵師様】
作者 | もめん子 |
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人物 | グレイル・テンペスタ |
イラスト種別 | シングルピンナップクリスマス2021(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2021年12月24日 |
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イラストSS
煌々と周囲を照らす月。光を反射するのは一面の銀世界。
辺りにはなにもない。聞こえるのは未だ止まない雪が降り積もる微かな音と、その中を駆け抜ける自分が雪を踏みしめる音のみ。
世界が自分を残して消えてしまったかのような。あるいは自分がこの世界の、唯一にして絶対的な支配者になったかのような感覚。
肌を刺す冷気が、頬に落ちる雪の暖かさが、自分が確かにこの世界に存在していることを教えてくれている。
そして、彼は辿り着く。その頂へと。
遠く、街の明かりが見える。そこから見える風景はまるで砂漠に佇むオアシスのように見えた。
この景色を楽しんでいたいが、そのためにここにきたわけではない。
脇に抱えたボードに両足を乗せる。見据える先には、やはりなにもないけれど。
そして、彼は滑り出した。
雪の原を進む。進む。耳には風を切る音と、舞い上がった雪の合唱が聞こえる。
早く、速く。誰よりも疾く進んでいけ。
そして辿り着いた麓には、木々が多く生えていて、山頂よりは暗い印象を受けたが、それでもよかった。
たまには、こういうシャイネンナハトも悪くないかもね。
ふ、と思わず笑みが零れた。
もう一度、風を切って走ろうか。板をまた脇に抱え、彼は山道を登っていった。
ちなみに、それをこっそりとみていた子供がいた。
子供は、彼の姿を親にこう伝えたという。
カッコいい聖人がいた。と。
※SS担当者:樹志岐