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希紗良の弐壱百によるおまけイラスト
希紗良の弐壱百によるおまけイラスト
イラストSS
ひらひらはらはら。とっくに積もっているのに、雪はまだ舞い降りている。
聖夜とやらに全く馴染みのない少女の元に、青年は王道のホールケーキを手土産にお邪魔していた。
「けぇきというものは、何度食べても甘くて美味で良きものでありますな」
「和菓子も良いかと思ったけど、やっぱり今日はケーキかなってね」
青年のものより大きめに切り分けられたケーキを、器用に箸で捉えてもきゅもきゅと頬張る希紗良の笑顔に、アッシュグレイは正解だったとふんわり微笑む。
「雪、やまないねぇ」
「今は穏やかでありますが、明日には雪おろしかもしれないであります」
そりゃ大変だ、と瞬きする青年に、ふふんとどこか得意げな顔をしてみせる。
「キサは慣れっこでありますから、うんと頑張るでありますよ!」
「さすが希紗良ちゃん」
とはいえ、静かな粉雪を見ながら食べるケーキは美味しさもひとしお。身に染みる寒さも、火鉢があれば心も身体も、やんわりとぬくい。
アッシュ殿、と猫の耳をぴこぴこ動かし少女が口を開く。
「このお礼は、正月に。里で餅つきをするのでありますが、お越しいただければつきたての餅とお節料理を振る舞うでありますよ!」
「搗き立てのお餅は美味しそうだねぇ……それじゃあ、正月にも顔を出させてもらうよ」
やがてすぐに来る年明けの約束をした二人は、また甘いケーキと雪の白さを楽しむ。
※SS担当者:遅咲