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4人の聖夜は”美味しい”と共に!
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ひとりでは、“おいしい”には出会えない。
“おいしい”に出会うためには、誰かと一緒にいなきゃいけない。
……『一緒にいなきゃいけない』ではなくて、『一緒にいたい』だと知ったのは、1年前のことだけど。
「ほら、ここ。ごはんがついてるにゃ」
杜里 ちぐさ(p3p010035)が口元に溢れた食事の残滓を拭い、甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
「慌てなくたって飯は逃げないぜ? 勿論、俺達もな」
「足りなかったらオレが持ってくるし、気にしなくていいからさ」
囲 飛呂(p3p010030)とエドワード・S・アリゼ(p3p009403)はそんな姿を見て笑っている。慈しむような視線で、笑いながら。
周りに視線を移せば壁から扉から、丁寧に華やかに彩られた空間が視界に入る。正面にはケーキに七面鳥、ピッツァにパスタが並ぶ。グラスに注がれた葡萄のジュースはルビーよろしく輝き、手元のビーフシチューからも暖かな湯気が立ち上る。
「ありがとうございます。ニルは、皆さんとの食事がとっても『おいしい』です。だからちょっと、考えてしまったのです」
ニル(p3p009185)は笑顔でちぐさ達に応じた。その笑顔があまりに拙く、そして率直な感想だったので、一同もつられて笑う。
ニルの『おいしい』の意味をちぐさ達は知っている。『おいしい』の為に、ニルが努力をした痕跡も、皆で食べ切れるかもわからない量が並ぶ食卓も、飛呂やエドワードの気遣いも。
ちぐさの心の中に何が眠っているのかを、仲間達は取り立てて追求しない。そんなものはこの食卓では雑味になると、わかっているから。
飛呂は明るく振る舞う仲間達と一緒にいて、正直に楽しいと感じている。希望ヶ浜を出てローレットに至り、こんな仲間達と出会えた幸運は限りなく得難いものだと知っている。
エドワードは信頼できる仲間達と過ごせることが幸せである。相手を信じやすい自分を、信じてくれる仲間達の心遣いが何より嬉しくて。
4人が揃って食卓を囲むことが、こんなに『楽しく』『おいしい』だなんて!
(この縁が、来年も、そのまた次も、これから先もずっと続いていきますように……)
誰とも知れず願ったその想いは、きっと4人の共通認識だから。
穏やかで鮮やかなこの夜が、輝いているのは誰の目にも明らかだった。
※SS担当者:ふみの