イラスト詳細
エステルの黒猫による2人ピンナップクリスマス2021
エステルの黒猫による2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
星空に瑠璃を散りばめて、降り注ぐ煌めきがギルバートの瞳に落ちてくる。
銀色に輝く雪原は、夜空の月星を反射して幻想的な色彩を帯びていた。
ギルバートは何度見てもこの景色が美しいと思っていた。
「どうだ? エステル、ヴィーザルの星は綺麗だろう」
「ええ、とても美しいです」
見上げた空は幾筋もの星屑が降って、心が満たされるようだ。
記憶の無いエステルはこのように星空を見上げた事があっただろうか。
エステル自身にもそれは分からないけれど、それでもこの夜空は素晴らしいと思うのだ。
「はぁ……」
悴んだ手に息を吹きかけるエステルにギルバートが温かいココアを持って来る。
「君は鉄騎種か? まあ、ヴィーザルは寒いからな。ほらこれを飲むといい」
寒さに強い種族とはいえ真冬の雪原は痛い程だろう。
ほんのりシナモンとジンジャーが香るココアを一口飲んだエステルは、身体中に温かさが広がっていくのが分かる。
「……輝かんばかりの、この夜に」
「ああ、星降る夜に」
「貴方と過ごせて良かった。とても楽しいです」
「それは光栄だ」
満天の夜空を見上げエステルは心に灯る温かさに目を細め、ココアのカップをぎゅっと握りしめた。
*SS担当:もみじ