イラスト詳細
電子のキミへ
電子のキミへ
イラストSS
●Follow Me
此処ではない場所、初めて来た場所。
今ではない時、これからの時。
キミはきっと其処へ立つのだろう。
白い髪が広がって、大きく棚引く。
頬を撫でる風は残夜のもので、少し冷たい。
そう感じるのは、此処が現実だから。
眼前には、何もない。
遠くに見える街明かりを暫く見つめてから、ジェック・アーロン(p3p004755)は瞳を閉ざした。閉ざしても世界は真っ暗になるだけで、何もない。太陽はまだ地平線。閉ざした網膜に焼き付く色はない。
けれど。
黒く暗いこの先に、きっと。
――電子のキミへ。
キミは此処に立つ時、何を思うのだろう。
アタシはね、と思ったことを覚えているのかな。
けれどいつかきっと、キミは此処に立つ。
このあわいがアタシとキミとの境界で、交わり。
今はまだ、何もない場所へと手を伸ばす。
閉ざした眸の向こうに、キミを思い描いて。
今ではない時、これからの時。
きっと『電子のキミ』は其処にいるから。
――ねえ、電子のキミ。
キミは其処にいるのかな。
※SS担当者:壱花