イラストSS

「あ、ああああのさ！　これあげる！！」

　シャイネンナハトの日――京はギルオスへとそう告げながら、一つの箱を差し出した。
　ラッピングされた代物だ。薄く、細長いその中身は……ネクタイ。
　つまり京からのプレゼントな訳である。それは良い――が。
「ええと？　京、どうしたんだい？　なんだか様子がおかしいけれど……大丈夫？」
「べ、別になんでもないよ！　私は大丈夫！　それよりこれ、これあげる！」
「あ、ああうんありがとう。いやでもさ、さっきから随分マフラーも握りしめて……」
　ギルオスは自らに向けられる勢いに、やや苦笑気味であった。
　京は『元気のいい子』だ。そうだとは分かっている、のだけれども。今日と言う日は元気がいいとかいう範疇ではない――もっと何か様子がおかしい。さっきから挙動不審気味なのも気になる……なんだ？　一体何があったというのか。
　彼女の頬はどこか赤い気がするし、さっきからマフラーを随分とたくし上げているし……ん？
「……京。まさか君、熱があるんじゃないか？」
「えっ？」
「ほら。おでこなんてこんな熱い――京！？　わぁどこ行くんだい！？」
「つ、つつつつ付いてこないで――！！」
　なので。彼女は風邪気味なのではないかとギルオスは接触……
　した瞬間に彼女が逃亡した！
　なんで？　どうして？　何故！？
　――その根源足り得る『原因』は一体なにであるのか。
　ギルオスが気付くかは――さて！