イラスト詳細
隠岐奈 朝顔の緑茶によるおまけイラスト
隠岐奈 朝顔の緑茶によるおまけイラスト
イラストSS
冬の寒空の下においても、昼下がりの陽光に照らされた縁側は仄かに暖かい。
太陽の熱を吸収した黒いセーラー服から柔らかな香りが漂う。
「今日はですね。糸電話を持って来ました!」
「ほう、糸電話か。昔作った事があるぞ。懐かしいな」
「ふふふ、これは普通の糸電話じゃありません! なんと糸をピンと張って無くても聞こえる優れものなのですよ」
朝顔が取り出した糸電話の糸は魔法で相手に音を伝えることが出来るものらしい。
「特に役立つ物では無いですが、何だかロマンチックじゃないですか?」
「向日葵はそういうのが好きだの」
くすりと笑った遮那に朝顔は頬を桃色に染めた。
「だって、遮那君と糸電話したら楽しいかなって」
「拗ねるな拗ねるな。ほれ、片方貸してみよ」
朝顔は遮那に糸電話の片割れを差し出す。それを拾った遮那は耳に糸電話を被せた。
「私に伝えたい事があるのだろう? 向日葵はどんな言葉をくれるのだ?」
「遮那君が好きです」
「うむ……知っておるよ」
何度も何度も伝えた言葉。
焦って泣きべそかいて。
自分だけが一方的に好きな気持ちが大きくなっていると思っていた。
伝わってない訳じゃ無い。今はそれが嬉しいのだと朝顔は笑みを零した。
*SS担当:もみじ