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フローラ・フローライトのしもふりによるおまけイラスト
フローラ・フローライトのしもふりによるおまけイラスト
イラストSS
●Scheinen Nacht 輝きを見つめて
内側、それは安心できるものであり、閉じこもるもの。
雪の降る夜、フローラは何気なく部屋のカーテンを開けて窓の外を眺める。
積もった雪が反射しているせいか、暖かい街灯の明かりとともに薄暗い部屋の中を照らしている。
小さく一つため息を吐くと、彼女は改めて外の景色を眺める。
友達同士か家族連れか、はたまた恋人たちが仲睦まじくにこやかに聖夜を過ごす。
それを白く彩るかの如く、街灯と月明かりに照らされる粉雪が静かに煌めきながら地面に落ちていく。
ーーそんなごく当たり前の風景も、薄い窓ガラスを隔ててしまえばたちまち別世界だ。
長い前髪で片目を隠す。狭くても、これが一番落ち着く。
「今年こそ、聖夜を外で……あぁ、でも、私なんかが……」
人と過ごす聖夜を楽しそうだと思いつつも、結局窓を開ける手を伸ばすことができずにいる。
寒いであろう外に出る必要はないと、言われている気がする。
そっとカーテンを閉じては、少しだけ開けて外を覗き見るの繰返し。
開く度に差し込む窓からの光が、彼女の少しくすんだ灰色の髪を照らす。
「外はキラキラしてるんですけど、ね……」
外側、それは遠慮しがちに手を伸ばす、そんな世界だ。
※SS担当者:水野弥生