イラストSS

　オーロラのようにイルミネーションが輝く。
「わぁ……。綺麗、ですね」
「そうだな。悪くねぇ」
　叶が感嘆の声を漏らし、恭介がまんざらでもなさそうな表情をする。
　シャイネンナハト。特別な日でありながら二人にとって今日はさらに特別だった。
　何しろ初めてのシャイネンナハト……そして初めてのデートだ。

　叶は恋人らしいことがしたいと考えていたが。どうしたらいいのかわからない。物のように扱われるのは慣れていても恭介の優しさには戸惑うばかりだ。
　叶が恭介を見つめたり、時々視線を逸らしたりもじもじしている。そんな叶の様子に

　──ああ、いくらボンクラの俺でも。これはわかる。
　恭介が叶を抱きしめた。
「……これであってるか？」
「はい！　あってますわ」
　微笑む叶。嬉しくて、恥ずかしくて。顔が赤くなってしまう。
　力を込めると折れてしまいそうなほど華奢だ。恭介はそう思った。
　永遠のようにも刹那のようにも感じる時間が過ぎ。
　叶が恭介の手を見つめてもじもじしている。

「手でも繋ぐか？」
「はい……！　ええ、お願いいたしますね……！」
　恭介が手を差し出す。

　二人は手を繋ぎライトアップされた並木道を歩く。イルミネーションは祝福の光だった。


　※SS担当者：7号