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一等の美しさをあなたに
一等の美しさをあなたに
イラストSS
――カランっ。
透き通ったベルの音が美しき来訪者を告げる。
いらっしゃいませ、と品の良い女性店員が来客へと頭を下げた。彼女に簡単な挨拶をした後、ナターシャは店内を見渡した。ウィンターシーズンだからか白い洋服が多いように見受けられる。
そんな白に囲まれて一点の黒が揺れていた。
黒のセーラー服に身を包み、赤いマフラーを巻いた彼女はとても目立っている。
とても可愛らしく美しい少女、茶屋ヶ坂 戦神 秋奈を着飾りたい。否、私にはその義務がある。ナターシャはそう思った。
「ごきげんよう、レディ」
声を掛けられた秋奈が振り返る。マフラーと揃いの深紅の目が此方を向いた。
「私があなたの美しさをより引き立ててみせましょう」
秋奈の頬をナターシャの雪の様に白い手が擽った。
「ああ、やはり。お美しい」
鏡の前で秋奈にナターシャは囁いた。
繊細に編まれたレースの生地に触り心地の良い一点の穢れもない真っ白な絹のドレス。
髪型はいつもと同じサイドテールだが、今日は瞳と同じ深紅のリボンに真っ赤な薔薇のコサージュでエレガントに。
「わぁ……!」
頬を薔薇色に染めた秋奈にまるで白雪姫の様だとナターシャは微笑んだ。
※SS担当者:白