イラストSS

　シャンシャンシャン。
　角に付けた柊の葉が揺れ、小さな鈴が音を鳴らす。

　キュッキュッキュッ。
　男と二人並んで歩む道は、雪の音が足跡を連ねる。

「今日は付き合っていただいてありがとうございました」
「こちらこそ。クリスマス市を回れて楽しかったよ」
「去年は見るだけだったので、今年はアレックスさまと一緒に買い物がしたかったんです」

　ガラス壜の中には草花を閉じ込めたハーバリウム。
　ガラス窓の向こうの思い出を詰め込んだショーウィンドゥ。

　一緒に食べたチョコレートケーキとハーブティーが美味しかったから、昨年は見るだけだった買い物にも目的が出来た。
　
「これ、どうぞ。今日のお礼です」
「じゃあ、交換で」

　サンタとツリーと雪の家が入ったスノードーム。
　袖口にトナカイの刺繍が入った男物の毛糸手袋。

「アクセサリーの方が良かったかな。ほら、今年も角をクリスマスっぽく飾ってるだろ」
「そう言うアレックスさまこそ。クリスマスカラーです」

　赤いネクタイと緑のベストをコートから覗かせ、男が夜空を見上げる。
　メイメイがつられて視線の先を辿ると、冬の星座が北天に輝いている。

　地上にないツリーの星が、優しく二人を照らしていた。


　※SS担当者：八島礼