イラストSS

Title:うどんを注ぐ女

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　御子神・天狐（p3p009798）のシャイネン・ナハトの夜は長い。
　この夜こそは満願成就の夜である。……つまりは彼女の奉じる『FUM教』を広める絶好の機会であるからだ。
「うわぁ、誰だお前は！？」
「うどん神の天啓に従い、ケーキにうどんを添えにきたのじゃ！　むしろうどんが本体？　兎に角同じ炭水化物なんだから合う筈じゃ！」
　彼女はそういって赤の他人の家にずかずか上がり込むと、クリスマスケーキ（５号）に唐突にうどんを注ぎ込む。汁がなくてよかった。
　見る間に白と赤のコントラストの表面を異形の白が支配していく。宛ら城を呑み込む大蛇の如くに絡みついたうどんは、瞬く間にケーキを支配した。
「これでわしの使命は終わりじゃ！　あとはパーティを楽しむがよい！」
　窓枠に足をかけた彼女が外へ飛び出すと、待ち構えたかのようにジェット付きのリアカー屋台が待ち受けている。
　白い上着と赤い袴は、まるでサンタのように鮮やかな……。
『ワケないんじゃよなあ』
　空に溶け込むように、ターバン姿の褐色老人が呆れたように見守っていた。
　彼女はまだまだ、不法侵入と不法うどん混入を繰り返す。余罪はまだ始まったばかりだ。


　＊SS担当：ふみの