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イラスト詳細

当たり前の午後

作者 うみちょす
人物 浅蔵 竜真
澄原 晴陽
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

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イラストSS

 12/24――シャイネンナハト(クリスマス)で有ろうとも、病院は年末年始の休暇を前に混雑している。
 休憩もなく仕事に明け暮れていた院長を見かねたナース達が休憩をとってほしいと外に放り出したのが数分前のことである。
「おや、奇遇ですね」
「ああ。晴陽さん。ナースに追い出されたのか?」
 竜真はひらりと手を上げて晴陽へと挨拶をした。通りがかりではあるが疲弊した表情の晴陽に根を詰めたのだろうと竜真は直ぐに合点がいった。コーヒーショップで購入したホットドリンクを手渡し、少しばかりの息抜きに散歩をしないかと誘う。晴陽は「構いませんよ」と頷きながらもaPhoneを手から離すことはなかった。
「やっぱり緊急時のコールに備えているのか?」
「……ああ、ええ。すみません。癖です。失礼しました」
 肩を竦める晴陽は竜真を見上げてから目を伏せる。人付き合いを余り得意としない彼女に竜真は「いや」と首を振った。
 戦士として戦う自分と、医術士。立場は違えども『救う者』である自ら達は矜持は同じであると認識している。
「患者を思いやる気持ちも大切だ」
「……そう言って頂けて有り難いです」
 戦士の休息――と言えば少し可笑しいかもしれないが。その時間が僅かでも彼女にとっての安らぎになればと願わずには居られない。


  *SS担当:夏あかね

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