イラストSS

　大きなツリーにイルミネーションが輝く、ほのぼのとした空間。
　柔らかで楽しげなBGMが流れ、パチリパチリと暖炉の音も聞こえてくる。
　ピンク色のラグにはクリスマスプレゼントの箱が置かれ、これからパーティでも始まるかという雰囲気であった。

　だが、しかし――
　部屋の中を猛烈なスピードで駆け抜けて行く物体が二つ。
「ヤメロォ！　てめぇ！　俺はそんなん着ねーぞ！」
「あはは、やだなぁ、ここはゲームの中ですよ。本当に着るわけじゃないんですから、大丈夫です」
　にこにこと微笑むアレキサンドライトの手には可愛らしいサンタ服がある。
　自分が着ているものと同じワンピース型のドレスである。
「大丈夫じゃねぇ！　それ着たらスクショ撮って廻とかに見せるンだろうが！」
「勿論じゃないですか？　それ以外の選択肢があるとでも？」
「クソ野郎！　てめぇはリアルでも綺麗だからいいかもしんねーけど、俺は着ても似合わねーんだよ！」
「だから良いんじゃないですか。今からデートなんでしょ？　着ていきましょ？　ね？」
「わぁ、素直」
　龍成の身体にサンタ服を押しつけるアレキサンドライト。
　その頭を掴んだ龍成はぐいぐいと押し返す。
　拮抗する力。一進一退の攻防は続く。

＊SS担当：もみじ