イラスト詳細
ルアナ・テルフォードの蓮葉まことによる2人ピンナップクリスマス2021
ルアナ・テルフォードの蓮葉まことによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
「みて、おじさま! ゆき、ゆきよ!」
ルアナの目は好奇心できらきらと輝いている。つられて空を見上げるグレイシアの頬に雪が落ちた。
「おじさまもゆき、好き?」
「どうかな」
気の遠くなるほどの歳を重ねているグレイシアにとって、雪などはさして珍しいものではない。強いて言うならば、雪などというもので心からはしゃいでいるルウナのすがたこそが珍しい。
「おじさま! ゆき! つめたーい!」
「喜ぶのは良いが、上ばかり見て転ばぬように、な」
「はーい……きゃあ!」
つまづいたルアナを、グレイシアは即座に支えた。
「気を付けるように」
「ごめんなさい! だいじょうぶだった?」
「荷物ならば、このとおりだ。シャイネン・ナハトは問題なく過ごせるだろう」
「ううん。それはいいの。おじさまはだいじょうぶ?」
あどけないルアナの言葉に、グレイシアの動きは止まる。
「よりにもよって、……吾輩の身を案じるのか?」
「どうして? 当たり前よ!」
「そうか」
「て、つめたあい!」
「つなぐかね」
街を行く二人の人影を、人びとは何と思ったろうか。仲睦まじくほほえましい、家族――そう思ったに違いない。
雪がひとひら、溶ける刹那のひと時。かけがえなく、寄る辺ない時。
※SS担当者:布川