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キミと過ごす、奇跡の夜
キミと過ごす、奇跡の夜
イラストSS
小さな雪が群青の空から降り注ぐ。
燈堂家の離れの縁側で星を見上げていたシルキィの傍には廻の姿があった。
「こっちはあんまり星が見えないでしょう」
「ふふ、街の灯りがあるからねぇ。でも、そんな所も含めて希望ヶ浜って感じがするよぉ」
折角のクリスマスだからと、着物に着替えたシルキィの横顔に視線を移す廻。
彼女を見ていると、ふんわりと温かい気持ちになるのだ。
とても大切で失いたくない人。
「雪も積もってきましたね」
「うん。光に反射して綺麗だねぇ」
二人で見上げる夜空には、白い雪がちらついている。
「寒くないですか?」
「大丈夫だよぉ」
シルキィの言葉に廻はそっと彼女の指先に触れた。
「……あの少しだけくっついてもいいですか? ぎゅってすると暖かいですから」
廻はシルキィへと手を広げ、優しく抱きしめる。
「うん、私もそう思う。それじゃあ私からも……」
お返しにぎゅうとシルキィも背中に手を回す。
「えへへ、本当に暖かいね。もうちょっと、ぎゅーってしててもいい?」
「はい。もちろんです」
温かな鼓動とぬくもり。白く消えて行く吐息は思った寄りも近くにあって。
雪に反射する温かい光が、二人を包むように揺れていた。
*SS担当:もみじ