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いや、別に焼きもちなんか焼いてないぞ、妬いてない
いや、別に焼きもちなんか焼いてないぞ、妬いてない
イラストSS
聖なる夜がやって来た。海に隔たれた地である神威神楽では天子たる霞帝の誕生記念日と合致していた事でその風習も易く受け入れられたと云う。
故に、クリスマスはプレゼントを贈る日なのだと小耳に挟んだ章姫は「帝さんにお誕生日とクリスマスのプレゼントを贈りたいのだわ!」と堂々と宣言したのである。亭主たる鬼灯は非常に複雑な心境ではあるがお洒落をし、手製のプレゼントを携える嫁殿は愛らしい。彼女と霞帝が擬似的な『親子』であると分かって居ても――妬ましいのだ。
「帝さん! お誕生日おめでとうなのだわ!」
「ああ。章姫。今日も麗しいな。ありがとう、プレゼントを貰えて嬉しい」
穏やかに微笑む『おとうさま』に章姫はうふふと頬を綻ばせた。室内には霞帝が晴明などに頼んで飾った章姫画の『おとうさま』が飾られている。クレヨンで一枚一枚丁寧に描いたそれを大事にしてくれる辺りよい父親なのだ。
それでも――それでも、鬼灯君は寂しかった。可愛い章姫が喜んでいることも、尊大なる霞帝がそんな章姫を受け入れてくれることも嬉しいが、やっぱり、ちょっぴり、いや凄く、妬ましいことには違いなかったのだから!
*SS担当:夏あかね