イラストSS

　輝かんばかりのこの夜に――
　折角のシャイネンナハトなのだからスティーブンは差し足忍び足、そっとティオの元へと忍び寄った。
　良い子はもうベッドで眠っているはず。こっそりと枕元にプレゼントボックスを忍ばせて、翌朝驚くティオの顔が見たい。
　そんなスティーブンの考えは余所に、ベッドの中で身を縮めるティオは息を呑む。起きている事は悟られないように、気配を殺すティオはわざとらしい寝息を立てた。少しでも触ってきたならばその手を払除けて叱り付けてやるためだ。
　こそこそ。わざとらしい動きで進むスティーブンはティオが起きてや居ないかと確認するように覗き込む。影が揺らいだことに気付いてティオは不味いとぎゅうと瞼を下ろして眠ったふりをした。
「……寝てる？」
　眠っていたら答えるわけないだろうと思わず返事を仕掛けたティオは子猫のように身を縮め、警戒して布団をぎゅっと握りしめる。
　スティーブンはそれを眠っている時に物音が聞こえて煩わしく感じての仕草なのだろうと納得していたが――
　プレゼントボックスを置いてから何となく頭でも撫でようと伸した指先がばしりと払除けられ。
「あ」
「あ」
　共に反射だった。ティオとスティーブンの視線が交わって……『サンタクロース』の正体が露見したと慌てるスティーブンにティオは「気のせい！」と叫んでから寝ぼけた振りをして布団へと潜り込んだのだった。

　　＊SS担当：夏あかね