イラストSS

　シャンパンゴールドの光に包まれて、ドレスを翻し、真那が綺羅弾むステップを踏む。

「ティア、ティア！　もう一曲」
「ん。いいよ」
　間近で弾ける眩しい笑顔。
　胸に燈る温かな気持ち。
　優しく撫でてあげると、尻尾がふぁさりっ。

　――大好きなティアが優しく頭を撫でてくれる！

　――なんて嬉しそうなこの笑顔。

「ここ、密集地帯やね～♪」
　ぎゅっと手を掴んで、一緒になって体を揺らして。近づく他のペアの気配に秘密の計画を囁くように。
「ん、あっちに逃げよ。気を付けて」
　ティアは微笑みながらリードして、呼吸を揃えてナチュラルターン。
　くるり、泳ぐみたいに2人で逃げていこう。
　眩い彩に溺れる世界は万華鏡のよう。
　廻る視界に映るのは、もう誰にも邪魔されない2人だけの世界。

「脱出～」
「大丈夫やったぁ～」
「ふふ、ぶつからなかったね」
「あのね、ティア、あのね～！」

　弾む鼓動にふわふわの尻尾を燥がせて、真那は言葉探しに迷わない。想いの丈をありったけ、素直に伝えたくて仕方ない。
「ティアと一緒におるの、好きー！」
　初々しく無垢に色づく頬、つないだ手から伝わる温もり。
「可愛いなぁ」
「えへへ！」

　――なんて大切で愛しい、この時間。


　※SS担当者：透明空気