イラストSS

　ミニスカサンタの出動要請に、鏡の前でリョウは身支度の真っ最中。
　渡された衣装は冬だというのに露出が多くて煽情的。

　ふと通りかかったテンマは愛しい実姉に見つからぬようさっと身を隠し、眉根を寄せた。
（あんな格好で外に行くのか？）
　依頼書を破り捨ててしまおうか。

　あんなけしからん魅惑のサンタ姿を俺以外に晒すだと？
　それに、こんなに寒いのに体に悪いだろう？

（テンマ？）
　視線に気付いた姉は慌てて履きかけのストッキングを引き上げる。
（丸出しのお尻が視られたじゃない）

　――ダメ。
　気付かないふりをしているけれど、弟が自分を熱のこもった目で見ることに姉は気付いていた。　――姉弟なのに。

　異性として意識されている微妙な関係。
　焦燥が足元からせり上がり、羞恥に頬が上気する。
　……気付かないふりをしなきゃ。
　おかしくなってしまう、戻れなくなっちゃう。

　鏡と弟に挟まれて、前を向いても後ろを向いても視線からは逃れられない。
（こんな時、異性として意識しない姉弟はどんな会話を？）
　考えて――、

「ねえテンマ、チラシを鞄に入れてくれるかしら？」
「その恰好で行くのか」
「仕事なのよ」
　2人の声があたたかな室内に響き渡る。


　※SS担当者：透明空気