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三國・誠司の勝による2人ピンナップクリスマス2020(横)
三國・誠司の勝による2人ピンナップクリスマス2020(横)
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その日は、混沌にとって特別な日。
そして、希望ヶ浜にとっては――もう少し直截的な意味を持つ日である。
「……楽しかったですね」
「そうだね。俺も楽しかったよ」
誠司と沙月の2人は、言葉少なに夜道を歩く。周囲は電飾のきらびやかな光に包まれ、冬の夜の澄んだ空気は喧騒とともにやや曇り気味に2人の周囲を取り巻く。ぼやけた光は、2人を幻想の只中に押し込めるようにも感じられ。
「こうして過ごす機会があってよかったと思うよ。その……色々大変だったからさ、こっちに来てから」
誠司は沙月より混沌での生活が長い。だからこそ、『一年間』の重みを身にしみて分かっている。沙月とて、少なからず修羅場を潜った。その中で、希望ヶ浜の持つ『嘗ての日常の空気』が彼女には心地いい。
「そうですね……天義での訓練の折はお世話になりました」
「僕にもいい勉強になったよ。こちらこそ有難う」
沙月が誠司に抱いているのは友情と、感謝。それは間違いない。誠司にとっても、それは同じだ。
だが、それ以上の感情がないとは言わない。だから、率直な感謝の言葉は彼女には重く――差し出された掌の感触は、なおのことはっきりとその指に残った。
そしてこれからも、その日の記憶は残り続けることだろう。2人、共に。
*SS担当者:ふみのGM