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今夜は素晴らしい夜だ。聖なる夜だ。だったらこんな、御伽噺みたいな幸運があってもいいだろう?
いつものようにカジノにやってきたニコラス。しかして今日は、既に大敗を喫した後で、種銭になるようなものはない。
それでもカジノにやってきてしまうのは、もはやルーティンのようなものか。賭け事と自分は、切っても切れない間柄のようだ。
ふぅ、とため息をついて、床を見る――いけないいけない、これではツキも逃げていく……と、ニコラスの視界に、輝く小さなものがうつった。
ゆっくりとしゃがんで、それを拾い上げる。誰かが落とした、カジノのコインだ。何の変哲もない、一枚のコイン。しかし今夜は何か、運命的なものを感じたのだ。
顔をあげれば、そこに一台のスロットが、席を空けていた。多くのギャンブラーがひしめき合うカジノに、ただ一つだけ空いた席。落ちていたコイン。ただ一つ空いた玉座。神秘的なものを感じながら、ニコラスは席に着いた。
コインを投入して、僅か一列のあたりに全てをかける。スロットが回転し――やがて止まった瞬間、彼を待っていたのは、光と音、そしてコインの洪水だった。
ニコラスは驚きながらも――、
「輝かんばかりのこの夜に」
そう言って、にやりと笑うのだった。
*SS担当者:洗井落雲GM