イラスト詳細
KU☆SO☆DA☆SA
KU☆SO☆DA☆SA
イラストSS
●人々は語り合い、魔種は狂気を収め、俺は一人でシャイネン☆ぼっち
「クリスマスっていったら、やはりこれしかない」
日本男子として生まれたからには、クリスマスでやりたい事の一つや二つはある。
家族で楽しく食卓を囲む事ではない、ましてや恋人や友人と語り合うなど図書館に引きこもりがちな自分には無縁。
『輝かんばかりのこの日』に世界が望む事、それは――クリスマスケーキをホールで頂く事。
(朝一で買いに行って正解だったな……うん、今年のは当たりだ)
売れ残ったケーキを格安で購入し、ボロ屋で一人寂しくマグに淹れたコーヒーで流し込む。『らしいイベント』など期待できぬ自分でも簡単に味わえる、聖夜のひとときだ。
角砂糖をこれでもかと投入したコーヒーはタールの様に澱み、それを見る者がもしいるならばもはやケーキなど泡だったスポンジにしか感じ取れぬほど舌がボケてしまわないか不安にもなりそうなものだが世界は微塵も気にすることなく追加でコーヒーに角砂糖を一つ入れ、さらにケーキを一口、広がる甘味。
世界はその『ご馳走』を愉しみながら、心の隅にほんのわずか、孤独感を感じるのである。
……この後、突然訪れた友人たちによってそんな彼も色々と慌ただしく過ごす羽目になるのだが、その時の世界は知る由もないのであった。
*SS担当者:塩魔法使いGM