イラストSS

「余が――魔王である余が――ミニスカサンタ、であると？」
　オーダーを聞いたルーチェ＝B＝アッロガーンス(p3p008156)は、思わず聞き返していた。
（ふむ）
　はじめに聞いたときは、依頼書を手のひらの中で燃やしてやるのも一興と思っていた。しかし冷静に考えてみれば、このシャイネン・ナハトの空気を吸いに、外に出てみるのもいいのではないだろうかと思える。
　元の世界に帰るまで、情報収集は必要だ。
　それに、自分であれば――混沌に墜ち、かつての力のほとんどを失っているとしても、その魔力の欠片は健在だ。
　不届き者に絡まれれば反撃して引っ捕らえることくらいは、問題なく可能だ。
「いいだろう、受けてやろう」
　故に、ルーチェは外へ出ることを選んだ。

　いざその衣装に身を包んでみれば、ふむ、なるほど。悪くはないというのが感想だ。胸元を大きく開いたサンタの衣装は涼しくて目新しいが、寒すぎるということはない。
「わっ」
　ルーチェの目の前で子供が転ぶ。
「ふむ、泣かぬとは見所があるものよ。特別に余の手を取ることを許そう」
　今日はシャイネン・ナハト。特別な夜。どんな生き物も争わぬ――それがここの流儀ならば、戯れに従ってみるのも悪くはないというものだ。


　＊SS担当者：布川GM