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独(ふた)りぼっち
独(ふた)りぼっち
イラストSS
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「慰めてくれなくて結構。アンタだってぼっちのくせに」
まるで天国からの贈り物のように、また雪が降り始めた。今夜はシャイネンナハト。底冷えがするような寒さだ。
メルーナは白い湯気をたてるココアのカップを口元まで持ち上げ、息を吹きかけた。そっと口をつけてすする。甘い。
「そう落ち込むなって。この雪の一粒、一粒が、傷心を癒してくれるさ。そうさ、メルーナに降る雪はたくさんある。……俺もそのひと粒になれたらって思うよ」
「ちょ……、なに言ってるの」
ドーナツ片手にとなりで歯に浮くような台詞をいってくれたのは、回言 世界だ。さっきまで、「え? お前折角のシャイネンナハトなのにこんな所にいるのか」なんていっていたくせに。
「冗談だよ、冗談。あれ~、赤くなってる?」
ああ慈悲深く残酷な神様。どうしてアナタはこんなときに世界を私のもとにお遣わしになったのですか?
向けられた人差し指をパクリとくわえて、噛んでやった。
聖夜に絶叫が響き渡る。
もう、大げさなんだから。そういって口を尖らせると、世界は思わず蕩けてしまうような笑みを顔に浮かべた。
「元気でたか?」
笑顔の眩しさに目を細め、ぷいっと前を向く。
空から舞いおりる大きな雪の花が家々の屋根を白く塗り替えていた。今年のシャイネンナハトは雪が積もりそうだ。
*SS担当者:そうすけGM